しまなみ・とびしまツーリング

今週は遅い夏休み。初日はかねてから行きたかったしまなみ海道へツーリングに出かけた。

今やサイクリストが日本で一番走りたい道だというしまなみ海道だが、今回が初めて。本来なら今年1月のブルべで今治→尾道方向に走るはずだったのだが、息子に続いて自分も体調を崩してDNSと相成ったのだ。

行きたい気持ちが燻ってる中、ななしきさんが夏休みにしまなみ→とびしまというサイクリングをされていて、もう行きたくて行きたくてたまらなくなってしまった次第。基本的にヒトの影響を受けまくる方です。

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諸般の都合により日帰りがマストなので、しまなみ→とびしまとなると結構な強行軍となってしまう。

距離的には150kmほどなので大したことないのだけど、しまなみととびしま間は船で渡る必要があるため船の時刻表に行程が規定される。

今治から直接とびしまのスタート地点である岡村島までワープしちゃえる航路はあるのだが、極力船に乗る時間は少なくしたいのと(1時間半もかかる)、なによりも便数が少なくて12時の次は14時半とかなり間隔が空いてしまう。12時だとしまなみ全行程を3時間半ほどでそうはせねばならず、せっかくのツーリングがあくせくしたものになってしまうし、かと言って14時半の便だととびしまスタートが16時とかなり遅くなってしまう。

幸いにして、昨年からもう一つ岡村島へ渡る航路ができ、今回はこちらを採用した。今治から大島、伯方島、大三島と戻り、大三島南西の外れにある宗方港から岡村島へと渡ることが可能。この航路だと、14時半発という便があり、所要時間も20分ほどなので15時にはとびしまをスタートできる。

とりあえず、始発の新幹線で尾道まで移動しスタートするというのと、渡し舟の時間だけ決めて、帰りの輪行をどこからするのかとかは大まかな目星をつけておくに留めた。

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さて、当日の朝である。

新神戸までは自動車移動とした。これは主に新幹線に乗るまでにジャージを汗で濡らしたくなかったからであるが、帰りに混んでる阪急のなかで輪行するストレスを考えるといろんな意味で合理的な判断だったと思う。交通費だけでも、神戸っ子おなじみの600円/日駐車場に停めておけば、車の方が安かったりする。

早めだなと思いつつも4時40分ごろに自宅を出発。途中、コンビニに寄ったり、パンジャージをポストに投函したりしてたら、駐車場についたのは5時半。そこから新神戸までは自転車で移動し、駅の構内で輪行袋に詰める。

輪行するのはキャノボ以来なので勝手を忘れてて結構時間がかかる。えっちらおっちらホームまで自転車を運んでいたら、最終的には早すぎるということはなかった。

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新神戸に着く前からポツポツと降り始めた雨は、西に向かうほど強くなる。新幹線を降りた福山でもまだ雨はやまない。

気温も明らかに低く下手したら肌寒いぐらい。天気予報では昼過ぎからは回復してくるようだが、試練のライドとなりそうだなと覚悟を決め、尾道へ在来線で移動。

が、尾道に着いてみると、うそのように雨は上がっていた!我ながらさすが晴れ男!

尾道駅南口の駅舎外には、自転車組み立て場なる場所が確保されている。さすが自転車の聖地。早速Madoneを輪行袋から取り出し組み立て、まずは記念撮影してから出発!

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最初の島、向島へは渡し舟で渡る。自転車込みで運賃110円。

5分ほどで到着して、しまなみ海道がいよいよ始まる。言わずもがなの青ラインに従えば全く迷うことはない。

走り出してすぐのファミマでツーリングクーポンを購入しておく。期間限定のようだが、橋の通行料合計500円が半額になる。他にも観光施設などで割引してもらえる優待券もついている。マストバイですな。

雨は降ってはいないものの、やはりかなり気温は低い。ガーミン読みで22℃。アームカバーをしててちょうど良いぐらい。

向島はあっという間に走り終え、最初の橋へ。自転車用のアプローチ道が整備されているのが素晴らしい。もちろん橋桁まで上がらないといけないので、橋を渡る時は必ずプチヒルクライムが付いてくる。橋には無人の料金箱が置いてあり、そこに料金をいれる仕組み。一応監視カメラが付いているが、どうやって取り締まるんやろうか。

2つめの島は因島。ここでは噂の恐竜がお出迎え。

因島では目をつけていたスイーツを食べる。まずは「はっさく大福」。はっさくの甘酸っぱさと大福の甘さがマッチしてて予想より美味しかった。

「ドルチェ」というジェラート屋にも寄るつもりにしてたんだけど、9時過ぎでは空いておらず泣く泣く断念。

次の橋を渡り、生口島へ。生口島は去年からロードのレースを開催したりと自転車誘致に積極的な印象。実際、向島や因島より路面が良い気がする。平山郁夫美術館があるが華麗にスルー。時間があれば見てみたい。

ここらへんでもうしまなみの約半分を走破。

多々羅大橋を渡り大三島へ。ここは次の伯方島へのルートはすごく短いのだが、島自体はかなり大きい方。あとあと、とびしまへ行く時にもう一度走るので、最初は最短ルートを走る。

5kmほどであっという間に伯方島への橋に至る。この橋の下りでアクシデント発生。

積もった落ち葉が濡れており、それにタイヤをツルッと取られて落車(泣)危ないからと思ってかなり減速してたつもりなんだけど・・・恥かしい。

スリップダウンだし低速ので、幸いジャージとレーパンに穴は空かなかった。ホッ・・・。特にパンジャージは出来たてホヤホヤなんだから!ただし、アームカバーは擦れて破れ、右前腕に擦過傷。とりあえず穴の空いたアームカバーをズラして圧迫止血。

気を取り直して伯方島へ上陸。もちろん「は・か・た・の・しおッ!」と叫んだことは言うまでもない(心の中でwww)

伯方島では是非とも塩ソフトクリームを食べたかったので、道の駅にピットイン。トイレで傷を洗浄して汚れたアームカバーは捨て、対側のアームカバーでもう一度圧迫止血しておいた。どうもsugoiのアームカバーとは相性が悪いようだ。前回のも落車で破れたもんな。験を担いでもう買わんとこ。

肝心の塩ソフトは、ほんのり塩味が効いていることで甘みが引き立てられ、かなり美味い部類。四国カルストのミルクを使ったというソフトクリームも食べたかったが一応我慢。ちなみにここは上述のサイクリングクーポンに付帯した割引券が利用できる(350円→300円)。

落車で落ち込んだ気分もSCでやや回復の兆しを見せ、一路、最後の島、大島へ向かう。大島島内はほとんどが内陸部を走るという極めて楽しくない経路。しかも距離が微妙に長く、かつ斜度は緩めながらも峠越えになっている。もちろん海沿いの別ルートを選択するという方法もあるのだが、敢えてこのないリクルートを選択せねばならない理由がある。それが「亀老山」。

標高300mほどの山で、山頂には展望台が設置されており、ここからの景色が絶景というのだ。ならば行かねばなるまい。折しもようやく晴れ間が見え隠れしてき始めたために一気に暑さがきつくなる。汗だくになりながら、必死のパッチで山頂にたどり着く。途中「なんでツーリングやのにヒルクライムせなあかんねん?」って自問自答していたが、展望台に着いてみたらそんな気分は完全に一掃された。

まさに大パノラマ。見渡す限り、しまなみ海道の島々が、瀬戸内海が一望できる。これは絶対に登るべきだわ。

この展望台の売店ではここでしか食べられないという「藻塩アイス」というのがあるそうな。ここでしか、というワリに「楽天でおとりよせアイス6年連続No.1」とか書いてたのはどういうこと?www 塩味の効いたアイスクリーム。まあ美味しいわな。うん。自転車乗りに限り、デコポンアイス?をちょびっとトッピングしてくれる。こっちもまあ美味しい。せっかくしんどい目して登ってきたのなら食べてもいいだろう。車できたのなら、まあ、どっちでもいいだろう。そんなお味。

亀老山を下れば、今治まであと10kmもない。来島海峡大橋は三連吊り橋で、橋長4~5kmほどとしまなみ海道で最長の橋。晴れ空を映した海の色がエメラルドに輝き、これぞしまなみ!という景色を最後の橋でようやく拝むことが出来た。雨は言わずもがなだが、曇と晴れとでは爽快感が全く異なるね。曇りではせっかくの絶景も凡百の景色へと堕してしまう。

来島海峡大橋のラストは螺旋状の回廊となって四国へ到着。今治市内へ向かいかけるが、ヒルクライムやら落車やらで思った以上に時間を潰してしまっていて、市街地に行ってるとフェリーに乗り遅れる公算が高くなってきた。今治名物のB級グルメ「焼豚玉子飯」は断念して、とびしま街道へ向かうこととした。今治サイクリングターミナル「サンライズ糸山」に立ち寄り、復路分のサイクリングクーポンを購入し、ついでになんか目ぼしい食べ物ないかなと物色したがどれもイマイチ・・。レストランも待ち時間があるようだし、水分補給のみで退散した。

大三島までは復路と同じ道を逆走。ここまでご飯らしい固形物を食べていなかったし、とびしまに入るとおそらくコンビニはさらに減るだろうと、大島のローソンで昼食。おにぎり、Lチキ、アイスクリーム・・・。なんでしまなみまで来てこんなもん食べてるんや?ワタクシ。

内容はともかく、身体は正直だから空腹は満たされると元気も回復。大三島ではルートを南西方向に取り、宗方港を目指す。ジリジリと照りつける太陽に身を焦がしながら、微妙に繰り返すアップダウンに脚を削られつつ進む。14時15分ごろに港に到着。予想していた以上に寂れた港だった・・。フェリーの出発時刻まで待っているうちにサイクリストがもう一人到着。お話をしているとどうも尼崎から来られたそうな。こりゃ奇遇。尾道から走ってきて(今治には行かず)とびしまを抜け、輪行で尾道に戻って1泊するらしい。ええな、泊まり。

フェリーに乗り込み潮風に吹かれながらしばし休憩。遠くに走ってきたしまなみの島々が見える。

所要時間20分強で岡村島へ到着。ここからはとびしま街道だ。とびしま街道を構成する島は、しまなみの島に比べるとはるかに小さい島ばかり。数キロも走れば次の島っていう感じ。しまなみと同じく青いラインが引かれているので道に迷うことはないし、そもそも小さい島だから別ルートに行っても大した距離にはならない。島の名前はほとんど覚えてないが、唯一知っていた島は「豊島」。産業廃棄物問題で故・中坊公平氏が活躍した島ということで記憶にあった。豊島自体はのどかな漁村で、とびしまの島々の中では比較的開けていた印象。

とびしま街道の方が、地元の方々の生活道路に近いところを走っており、また海沿いを走る区間も長くて、個人的にはこちらの方が楽しめた。しまなみに感じた「取ってつけた感」があまりない。地に足がついた生活臭が感じられるコースだ。旅に来たっていう実感が湧いてくる。

14時頃の暑さのピークを超えると夕方に向けて一気に涼しくなってきた。秋の気配だ。

安芸灘大橋を渡ると本土へ帰着。ここまでで150kmほど。

少し西へ行き「広駅」から輪行。その前に、ドラッグストアで絆創膏を買って傷の処置。また100均でビーチサンダルを買って、サイクリングシューズから足を開放してあげた。理由は分からないがダイヤが大きく乱れていて、おかげで乗れる予定になかった通勤快速に乗車できそうだったので、レーパン・ジャージ姿のまま電車に乗り込んだ。

広島駅までおよそ40分。通勤・通学の時間帯なので満員状態。輪行バッグは肩身が狭い。おまけにジャージ・レーパンからは汗の異臭がしていたことだろう。ゴメンナサイ。

広島駅で身体を拭いて着替えも済ませ、さっぱりしたところで新幹線でびゅーん。広島に来たけども広島らしいものも全く食べずに帰ってしまった。輪行バッグを持ったまま移動するのが億劫すぎた。

そんなこんなで帰宅したのは21時過ぎ。

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しまなみは強行軍すれば今回のように日帰り出来なくもないが、正直言ってそれじゃつまんないと思う。普通に走りに行くだけだったら、橋を超える珍しさがあるだけで淡路島と大差ない。やっぱり最低1泊して、サイクリングルートから逸れてみたり、美術館を訪ねたり、そういう楽しみ方をすべきところだなと感じた。