「阪急電車」

遅ればせながら文庫版で読了.
マイケルサンデルの「これからの正義の話をしよう」を読んでいる合間に息抜きとして読んだのもあって,さらりと読めた気持ちの良い小説.
僕自身が利用している阪急今津線での物語という非常にローカルな設定.作者も今津線沿線に住んでいるようで(記述内容の細かさからすると小林駅界隈住人かな?),僕のように自転車で沿線を走り回っている人間からすると,「あ〜!そうそう!見たことある!」と,ちょっとクスッとするような生活に根付いた描写がいい感じ.文章になると,改めて今津線沿線ってどこか牧歌的なところがあって,だけど宝塚劇場周辺の瀟洒な感じもあって,自分自身もそういうところが気に入って逆瀬川を選んだんだなあと気付かされた.
そんなやや都会のローカル線を舞台に描かれた物語そのものも,心温まる,ほっこりするような連作短編.有川浩(男性だと思っていた)氏の作品は初めてだが,こういう作風なら他の作品も読んでみたいなあ,まあ,登場人物がややステレオタイプというか,どこかで見たことあるような感じのキャラぞろいではあるが(特に女性),逆にいうと安心して読める.
映画化されるとのことだが,逆瀬川でもロケするのかな?個人的には中谷美紀が主演というのがどうも・・・.