「スタートレック・イントゥダークネス」

今週観てきたもう1本の映画が「スタートレック・イントゥダークネス」。

何を隠そう、高校生の時分、関テレで深夜に放送していた「新スタートレック」にダダハマりした元トレッキー崩れである。DS9あたりまではかじっているものの、受験と重なったりやら放送そのものがややこしかったりで、ボイジャー以降はてんで観ていないというニワカではあるのだが。

まあそれでもTNGのDVDボックスは大学生の時になけなしのバイト代を叩いて購入したという程度には愛もある。もちろん、映画は毎度観てる。

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さて、前作映画からエイブラムス監督が作る全く新しいシリーズに生まれ変わったスタートレックである。

スタートレックのテレビ版、特にTNGが好きな人間としては、そもそもスタートレックは「宇宙を舞台にしたホームドラマ」とも称される地味さが良いのであり映画に向かない作品だと思っている。

実際、TNGの映画はピカード艦長の無理なアクションなんかが逆に痛々しかったりするし、艦隊戦も妙に陳腐だし、マニア以外にはおよそ楽しめない内容だったというのが自分の評価。

ところが、エイブラムス版スタートレックは娯楽色・アクション色がかなり強くて、予備知識のあまりない方々にも普通のSFアクション大作として受け入れてもらえるような仕上がりになった。それを良しとしないマニア諸氏もおられようが、興行的に楽しめるというのは当たり前の話であって、批判の対象とすべき部分ではない。決して世界観全体を損ねるような内容でもなかったと思うので、自分は好意的に受け止めたが、若干ではあるが違和感を覚えたのも事実。

そこで今作、エイブラムス版の第2作「イントゥダークネス」である。

前作からの続きなので、未見の方はレンタルしてから劇場に足を運ばれたい。

ネタバレは避けたいので、ストーリーは全く書かないが、とにかく最初っから最後までグイグイ引っ張られるすごい作品だった。脚本でも、映像面でも。

物語のテンポが素晴らしく良く、かつストーリーに大きな破綻がない。もちろん細かく突っ込めば何とでも言えるんだろうけど、ほとんどの部分はツッコミを受けないようちゃんと伏線が張ってある。伏線と言えば、冒頭シーンから最後まで無駄なシーンが全くと言ってよいほどなかった気がする。それほどに脚本の練りこみがすごい。

それでいて、「スタートレックらしさ」とでも言うべき人間ドラマもちゃんと描きこんで、しかも物語の中核を成しているとは、もう唸るしかない。カークとスポックの交流、カークの内面的成長、敵役の残虐性、描き方は様々だけども、一貫して描かれているのはシリーズの理念とも言うべき、生命のリスペクトだろう。

映像面でもスケール感が凄まじく、エンタープライズ登場のシーンには自分を含め、周りからもおお〜っと嘆声が漏れたものだ。とにかくエンタープライズがかつてない程にカッコ良くて、バンダイさんお願い!って祈ってしまうよ、コレ。

もちろん大半がCGなんだけど、白兵戦がでてくるのもスタートレックではお馴染み。白兵戦を含めたスタントアクションも目が離せない緊張感。見せ方がまた上手いんだわ。特にラスト近くの艦内移動シーンなんかは大丈夫だと分かっててもハラハラさせられた。

今作はネタ的に初代スタートレックの劇場版を観ていないとちょっと置いてけぼりにされてしまいかねないところが残念ではあるが、それを差し引いても、すべてのクオリティが超一流、いや超弩級ですな。(弩級の由来知ってますか?)

パシフィックリムなんかを見に行くぐらいなら、絶対コッチがオススメ。比較にならんわ、正直。

この作品を貶すのはおそらくスタートレック原理主義的な一部マニアぐらいじゃなかろうか。曰く、ロッデンベリーが描きたかったのはこんな世界じゃないと。

そんな読解力のない奴らの戯言は無視すれば良い。氏の想いはちゃんと引き継がれていると自分は感じた。

スタートレック映画史上最高の傑作が誕生した!