「iPad」雑感


散々Apple信者をやきもきさせた噂の新デバイス「iPad」が発表された.先行していた噂を少しも超えることのない,Appleにしては,サプライズの欠けたプレゼンテーションであった.
プレゼンではiPadの位置づけをiPhoneMacBookの中間を埋めるセグメントとしていたようだが,iPadならではの使い方というものがいまいち見えてこない.iPhone OSベースで動作することから,方向性としてはMacというよりは,マルチメディアビューアー的な味付けなんだろうとは推測できる.わざわざiBooksという専用アプリを発表し,電子書籍の販売・管理ソリューションを用意したことからもこれは明白.ただし,わざわざプレゼンでネットブックを牽制したことを考えると,CPUはiPhoneに採用されているものよりもパワフルであろうからMac的な使い方にも期待してしまう.いわば,現在得られている情報だけでは,「中途半端」なデバイスなのだ.

iPhoneとの比較(3G+WiFiモデルで比較)

メリット

  1. 画面が大きく,表示領域も広い
  2. バッテリー持続時間が長い
  3. CPUパワーで上回る(推測)
  4. 外付けキーボードなどの純正周辺機器が用意されている
  5. 802.11nが実装されている
  6. iPad専用アプリが使える

デメリット

  1. カメラがついていない
  2. 可搬性に劣る
  3. 3G回線で音声通話ができない
MacBookとの比較

メリット

  1. MacBookの約1/3の重量,サイズによる可搬性の高さ
  2. バッテリー持続時間が長い
  3. iPhoneアプリが使える

デメリット

  1. CPUパワーで明らかに劣る(推測)

このように考えると,つまるところ,iPhoneの延長線上として購入するかMacBookの廉価版として購入するかで評価が大きく分かれそうだ.評価を左右するのはCPUパワーと専用アプリケーション次第.特にネットブックとして購入した場合,CPUパワーによってはゴミのようなデバイスと化してしまう可能性すらある.逆に,大化けする可能性も秘めている.一方,「iPhone LL」として購入した場合,デメリットは購入前から予測できるものだけなので,あまり不満が出ることはなさそう.やはりビューアとして購入するのが正解なのだろう.

今後への期待

個人的にはビューアーとしてのポテンシャルは非常に高い端末であると思える.自宅で,ゴロゴロしながら使うにはかなり魅力的なデバイス.動画,音楽など容量を食うデータはネットワーク上に保管してiPadから必要になる都度アクセスするという運用にすれば,16GBの最廉価モデルで十分.ソフトウェアレベルで実装してほしい機能が,DLNAクライアント機能だ.特にDTCP-IPに対応して欲しい.調べたかぎり,DTCP-IPに対応したクライアントアプリは今のところない.HDDレコーダに保存したテレビ番組を自宅の好きなところで鑑賞できれば最高.ここをみると,すでにデベロッパレベルではiPhoneDTCP-IPに対応したクライアントソフトを開発できているようなので,あながち夢ではない話かもしれない.