「こぐこぐ自転車」

今日は当直だが,比較的落ち着いているのでゆっくり読書しながら待機.

こぐこぐ自転車

こぐこぐ自転車

小説家,伊藤整のご子息の伊藤礼氏の著.古希を目前に自転車と出会い,その楽しみをなんとも言えない味わいのある文章で綴ったエッセイ集.
ヘルメット装着のエピソードであるとか,どうやら信号無視を頻繁に行ってそうなところとか,ちょっとサイクリストとしては首をかしげる部分も散見されるのだが,まあ,そこはそれ,ちょっとやんちゃなお年寄りということで目を瞑りたい.
自分の愛機についての解説が多少はあるが,やれ「デュラエースがうんぬん」とか「カンパはレコードでないと・・・」とかの機材論は一切なく,「自転車に乗ること」そのものの楽しみや,自転車に乗ったことで広がった世界(古希にしてなお新たな発見に心を踊らせるその姿には感服!)がいかなるものかということに主眼が置かれている.
競技志向に走ってしまいがちな自分にとっては,初めてクロスバイクで遠出した新緑の季節を思い出させてくれる,ある種の懐かしさを感じさせてくれた一冊であった.