鈴ノ木ユウ「コウノドリ」

今日も本のご紹介。珍しくトレーニング本ではなくて漫画。ヲタなのにww

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このマンガがすごい!2013へのノミネート決定と言ってもいいほどの名作の予感。

コウノドリ(1) (モーニングKC)
鈴ノ木 ユウ
講談社 (2013-06-21)

産科医の友人がお勧めしてたので買ってみた。

謎のピアニストっていう裏の顔を持つ産科医が主人公の物語。このピアニストっていう設定が今のところあんまり生きているとは思えないんだがww それはいいとしても、比較的大きな規模の地域中核病院(新生児集中治療室=NICUを併設しているような病院)に勤務するベテラン産科医である主人公が様々な難症例に対処していく物語。

医療漫画は数あれど、産科モノって記憶に無い。それってやっぱりタブー的な内容になってしまうから?この物語ではそこらへんまでズンズン踏み込んでくれる。

例えば、妊娠中期での切迫流産のお話。妊娠週数22週に満たない状態で切迫流産に陥り、主人公は妊婦夫婦に「妊娠継続するか、堕胎するか」の選択を迫る。死産・流産になってしまう可能性が高い上に、たとえ上手く出産まで持って行けても子どもに重篤な障害が高率に残ってしまう。その現実を両親に突きつけて選択してもらわねばならないという産科医としての重責に苦悩する主人公達。そして、悩んだ末に両親が出した結論とは?

「出産はさ 結果だから」

産科以外でも、最近は自分が(もしくは家族が)死ぬ可能性があるということが頭から完全に抜けたまま病院を受診する人が少なからずいる。ましてや、産科となると「母子ともに健康が当然」というような風潮がまかり通っており、望んだ結果が不運にも得られなかった場合、医療側への風当たりは非常に強い。

そんな中で、産科医としての立ち位置を明確にして、少しでも次に繋げようとする強い意志を持った主人公に感動すら覚えた。

このように現代産科医療が抱える闇を描く一方で、この漫画で刮目すべき点は「出産・生命の誕生」ということの素晴らしさをちゃんと描いてくれているということ。

作者の意図したことなのかどうなのかは分からないが、この本そのものが、主人公の有り様と同じく、現代産科医療を次に繋ごうとする意欲に満ちたものであると感じられた。

これは続刊が楽しみだ。

ぜひ一読してほしい。